ハンガリー映画『心と体と』を観てきたよ

『Testrol es lelekrol 心と体と』(2017 ハンガリー)
日本公開2018年4月


舞台はブダペスト郊外の食肉処理工場。
代理職員として入ってきた若い女性マーリアは人と接することが苦手でいつも一人。
上司エンドレはそんなマーリアを気づかうが上手くいかずにいた。
ある日ひょんなことから、二人が同じ夢を見ていることがわかり、
それをきっかけに二人は急接近して行く。



映画は雪に覆われた森の中をさまよう二頭の鹿の姿から始まる。
とても静かで厳かな空気が流れる「夢」から覚めると現実は
かなりキツい食肉処理工場の日常。

このギャップが、なんともいえない。正直、目を背けたくなる。
しかしながら、エンドクレジットにも表記されるように

「この映画では動物虐待はしていません。残酷な場面がありますが、
それは食肉処理場で日常的に行われている行為です」


はい、おっしゃる通りです。
普段、目を向けずにいることに日々の食生活が支えられていることを強烈に意識させられたのも、この映画の優れた点の一つかもしれない。


そんなエグい現実と神秘的な夢の共存。
二人がお互いに近づこうとして努力する姿が痛々しいほどぎこちなくて愛おしくなるのだ。

終盤、思うように行動できない自分に失望したマーリアが早まった真似をしたときは
「えー、そんなの悲しいんだけど?」
と、泣きそうになったが、それこそ早まった判断だった。
よかったよ、ハッピーエンディングでw
                            映画館で鑑賞


英題:On Body and Soul
監督・脚本:イルディコー・エニェディ
マーリア:アレクサンドラ・ボルベーイ
エンドレ:ゲーザ・モルチャーニ

『心と体と』を見る







はじめて観たハンガリー映画は『リザとキツネと恋する死者たち』だった。

あれもまた不思議な作品だったな。
日本人にしかわからない気恥ずかしいような感覚を与えられるんだが、
そこが、なんだかクセになるおもしろさで好き。
誰かにわかってもらいたくて、尊敬する大先輩にすすめてしまった。
気に入ってもらえたようでブログに感想が上がっていた。
ふっふっふ、布教成功だ。GJ自分。


他にハンガリー映画といえば
『ホワイト・ゴッド』『サウルの息子』『悪童日記』が気になっていたものの
見逃したままになっている。
サウルと悪童日記は観る機会があったにもかかわらず、
テーマの重さに恐れをなしてスルーしてしまったのだ。
やはり、精神的に余裕がないときには避けた方が無難だと思う。


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