映画『29+1 29歳問題』を観てきたよ

『29+1 29歳問題』 2016(香港) 日本公開2018年5月


恋も仕事も手に入れたリア充キャリアのクリスティと、
町のレコード店で長年働く地味なティンロ。
パリへ旅行中のティンロの部屋を借りることになったクリスティ。
二人は誕生日が同じというだけで他に接点もなく別世界の住人のように思えたが、
部屋でみつけたティンロの日記がクリスティを変えてゆく。
映画『29歳問題』予告編<2018/5/19公開>
監督:キーレン・パン
脚本:キーレン・パン
クリスティ:クリッシー・チャウ
ティンロ:ジョイス・チェン
舞台女優であるキーレン・パンが長年演じてきた一人芝居の映画化で初監督作品。


アクション以外の香港映画が上映されるのは、めずらしいんじゃないかな。
自分が知らないだけかもしれないけど。
ということで、こういう香港映画を映画館で観るのははじめて。


実はまったくノーマークでチラシももらってきていない作品だった。
それが、最近たまたま予告を目にしてとても気になってしまった。
「あ、これは観なきゃいけない、って啓示だ!」と。


結果、大ヒット。
もう、響きまくりで号泣レベル。(実際はギリギリ我慢したけど)

特にクリスティが今までのことをいろいろ後悔するところは他人事とは思えない。
むしろ、年を重ねたぶん、クリスティ以上に後悔することは多いよ。


地味ながら日々を楽しんでいるティンロだって、それは生きるため身に付けた術だし。
この先ずっと今までどおり楽しく暮らすために、強くなって大きな選択もしなくてはならなかった。
ティンロはたいせつなことをおしえてくれる。
これもまた、年を重ねたぶん重みがまして響く。

だから、この作品はアラサー女子に限らず全年齢に響くはず。



そんな訳で、観終ってすぐにパンフレットを買いに行ったら、すでに先客が。
さらに、わたしの後ろにも並ぶ女性が複数。
そうだよね!よかったよね!
音楽もよかった。英語も広東語もやさしい声とメロディで涙が出るよ。
全曲タイトルとアーティストを知りたいのにパンフレットにも公式サイトにも記載なし。
ググって2曲はわかったけど…ううっ、どうしたらいいんだ!




邦題になっている29歳問題と、原題の29+1は、
29歳と30歳では大きな違いがあるよね、というのは
女にとってはどうやら万国共通の壁らしい。


で、実際のところ乗り越えてしまえば、
どうってことないどころか、そんなモノは存在しないことがわかるんだけどね。
ひとつ年を重ねたからといって何もかわりはしない。
たしかに、周りの古い価値観にしばられた人間からの無言のプレッシャー
あるいは心無い言葉に傷つけられるものだけど。

自分にとっては、30歳というのは大人のイメージだった。
だから、もう若くはないという焦りや悲しみよりも、
何一つとして成し遂げていないまま30歳をむかえてしまったことがつらかった。

さらにその後も誕生日をむかえるたびに、
年齢に中身が伴わないことがますます重くのしかかるのだ。

あと何年かすれば二度目の29歳問題に直面することになる。
そのとき、ティンロのように笑って迎え撃つことができるだろうか。


どうか、パリから帰ったティンロが元気で幸せでいられますように。
映画館で鑑賞


おすすめポイント
・クリスティの置かれた状況に合わせ全体を流れるリズムの変え方がイイ
・社長のエレインがかっこいい
・ティンロとホンミンの関係がかわいくて、見ているだけで幸せ
・挿入歌からエンディングまで、切なくやさしい音楽がイイ
・全年齢、全女性におすすめ


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